新MBA論

MBAについて色々。タカ派な内容に終始。

社費留学の真実

社費留学は送り出す企業にとって無意味であり、即刻廃止すべきだ。一方、派遣される側としては、こんなに有利な制度は無いので活用すべきだ。

 

世界では稀な制度ではあるものの、日本では社費(公費)制度が存在し、年間で数多くの日本人がこの制度を利用して世界中の大学に留学している。彼らは学費だけでなく、家賃、収入、航空券等の費用が保証されるという恵まれた環境にある。社命により大学院に派遣されているだけであり、学位取得は業務であることからこうした厚遇は当然だろう。

 

問題点としては、社費留学生の殆どは数年以内に転職していることだ。こうした修了後の転職を抑止するために、5年間のクローバック期間を設定している企業が多いものの、要求されるものは学費だけであり、給料や家賃は手元に残る。無論、修了後の職が保証されているため、私費生が胃を痛める修了後の職の確保の心配もない。むしろ、社費生はそうした身分をレバレッジにしている。

 

ここからは社費学生にとって明かされたくない事実ではあるが、私が把握する限り、限りなくすべての社費学生は派遣中に何らかの就職活動をしている。特にコンサルティングファームが社費学生向けの短期インターンを用意しており、「コンサル体験」と称して有望人材の囲い込みをしている。当然、インターンは選考であり、パフォームすれば内定が出る。ボストンキャリアフォーラムでのフルタイム採用も活発だ。コンサルティングファームに限らず、優秀であれば社費だろうと採用する。私費と違ってえり好みができるので、業界トップだけ受けるというのがよくある。コンサルで言うと、McKは受けるけど、それ以外は受けない、とかはよくある。内定が出れば転職するし、出なければ派遣元に帰るだけだ。いわばノーリスクで就職活動ができる。

 

本当に愛社精神に溢れ、派遣元に帰ることを第一に考えている人間も当然存在する、しかし、感覚的には10%もいないだろう。皆「MBA採用」というオポチュニティを目にし、そして多様なキャリアの広がりの可能性を目にし、派遣元に帰ろうという意識は自然と希薄化される。

 

今、あなたが社費留学の可能性があり、検討しているのであれば、挑戦しない手は無い。ただ、例外もある。仮にMBAを通じて大きくキャリアチェンジをしたい(他業種⇒コンサル除く)場合は長期インターンが必須なので、実質的に長期インターンができない社費留学は圧倒的に不利だ。

もし、あなたが企業の人事担当者であるならば即刻社費留学制度を廃止ないしは見直すべきだ。優秀層獲得のために「撒き餌」として考えているならばそれは妄想だ。社費留学があるから入社しようと考える人間など存在しないと断言できる。